景観を評価する とは

Query Cruise Vol.2-1 を終えて。

大庭哲治先生のQuery Cruise 「都市景観の“値段”とその評価基準について考える」に参加しました。
その感想と、そこから考えたことを書きます。

今回は都市景観のもつ特性や景観問題の構造という話から始めて、
都市景観を評価するということの意義・そのやり方・評価する際の価値基準、
さらにその計測方法によって評価できるものとできないもの等についてとてもわかりやすくお話をしていただきました。





「都市景観に値段をつける」 という言葉から個人的には不審感を抱いていただのですが、
私が勝手に想像していたような経済市場にのせて景観を売買するというような意味ではなく、
市場とは別に仮想市場というものの中での値段付けをできるようです。

今回特に勉強になったことは「非利用価値」と名付けられた価値の種類で、
本人が利用していなくてもそこにあるべきものである場合は、非利用価値(その場合存在価値)があるとみなされることです。
そして、その非利用価値を計測するための方法があり、その価値に対して自分がいくら支払うかという問いを立てることで、その価値の有無を計ると共に、その価値を保存形成するための資金調達の指標にもなるということらしいのです。
こうなると、景観と言うものに対して、自分のお財布と直結して考える事ができ、誰が当事者かわからなかった問題が一気に近づいてくる事になります。 
例えば、自分の握り締めた100円でダイコンを買うのか、貯金をするのか、景観形成にあてるのか。
この並列状態は素晴らしいことだと思います。


ここからは先生の講義を越えて、独り考えたことを書きます。

ここである疑問が浮かんできます。
この非利用価値を計測する為に現在の街で調査を行っても、出てくる結果は現在の人々の価値観であって、現況把握にしか過ぎないのではないでしょうか。
例えば、それが左京区の久多町のような、現存する民家の屋根は茅葺で、地域の景観がすでにあるまとまりがあり美しい場所であればこの意識調査は意味があるかもしれませんが、例えば京都の市街地のようにすでに美しい景観が壊れかけている場所では現況の景観価値を調べたところで余り意味がないのではないでしょうか。
つまり、景観をよりよく改善したい、新に形成したい地域では、まずその地域が今後どのように今後活性化されるべきなのかという議論が先に必要になると思います。
そこで改めて、地域ごとの景観がどういう状態であるのかをリサーチすることが大事になってくるはずです。

保全すべき景観なのか

改善すべき景観なのか

形成すべき景観なのか。

その地域景観の状態に合わせて、さらにどのような価値を今後見出していくかと言う方針を決めてこそ、
自分の100円を高さ規制に使うのか、広告規制に使うのか、ダイコンに使うのかの選択だと思います。

この流れで現在の新景観施策をみてみると、京都市の多くの地域に対してまず景観形成を行う為に新築の建物に対してこまかな外観規制をしています。そして、景観改善を行う為には高さ規制や広告物規制をしていますが、景観保全に関しては、既存の建物への改修補助金といった資金援助のみだそうです。ここでの最大の疑問は、景観形成を行う為の規制が、庇や格子、瓦屋根など“和風”を重視している一方、保全のための施策は資金援助のみである。となると、いつか既存の伝統的な建造物が全て立て替わってしまった時には、景観形成の見本としていたオリジナルは見当たらず、新に出来上がる景観はその根拠を欠いたものになる気がしてなりません。
新景観施策の 景観保全/形成/改善 の各取り組みへのバランスがとても重要になるはずだと思いました。

さらに 先生の講義中にずっと頭にひっかかっていることがありました。

そもそも 「評価する」ということはどういうことなんだろうか、それによって何が変わるのだろうか。

辞書によると、「評価」とは、“モノの価値や価格を決める事”と書いてありました。
つまり、評価する主体が当事者であるのか、第三者であるのかはこの言葉では規定していないようです。
ただ、客観性を持って評価する事が合意形成を生むために必要とされるということで、その為に先生のような研究者等第三者が入ってこの評価の手伝いをしているのだと理解したのですが、結局はそこに居る人々自身が客観性をもちながら議論していかなくてはいけないのではないでしょうか。
今の景観評価も、新景観施策も、その町に住まう人の生きた議論の成果ではないようで、
その町をどうにかしたいという人たちのなかで議論をしていくためのたたき台としての評価、施策なのかもしれません。

そして問題は、その事を理解している人がこの街に何人居るのかということ。

町並は人並みという言葉を聞いた事があります。

第三者にできることと、当事者が意識すべき事の両方から考えていかなければいけないように思いました。



長いし硬い。すみません。

miki
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by machinamiproject | 2010-02-01 01:04 | 町並会議


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