<   2014年 03月 ( 2 )   > この月の画像一覧

Seek Machinami 01-3 棲めるところ  まとめ

遅ればせながら、昨年のSeek Machinami 01-3の回の報告をします。



Seek Machinami 01-3
棲めるところ ~住まいと家族の移り変わりをたどる


前回のSeek Machinami 01-2で共有した参加者たちの住まいの原風景は実に多様でした。
一方で時代や家族像には共通するところがあり、Seek Machinami 01-3では、住宅形式を形づくった家族の在り方の歴史を、前近代的な民家から現代の郊外住宅やシェアハウスまで、幾つかの映画を観賞して読み解きました。
食べるところ、眠るところ、団らんするところ、「家」には様々な生活の意味が含まれています。特に、家族という固有性/社会性を基盤とする家を舞台に、家族や他者が集まる場所としての「団らんの風景」、一方で家に籠る行為としての「子どもの居場所」に焦点を当てて、その象徴的なシーンが描かれた映画を年代別に選びました。

各映画のストーリーではなく、家族と間取りの有り様を付記します。

第一部 映画視聴 

「楢山節考」1983年、今村昌平監督
江戸時代 信州の雪深い村落の人々との共生、祖母、父、息子、孫合わせて6人の住まい。
茅葺屋根に土間がある、田の字型民家。
家の土間部には馬を飼い、土間の囲炉裏で炊かれた煙が2階の藁を燻している様子。
家における家族の生業の場所は、祖母と父は囲炉裏端、長男は土間、次男以降は馬の世話と明確に分けられる。また、家族の寝床も、祖母がナンド、父と長男が囲炉裏端の板間、次男が屋根裏として描かれている。

b0150748_2144274.jpg

「わが青春に悔なし」1946年、黒澤明監督
戦中 京都市内の大学教授一家の住まい。現在も駒井家住宅として保存されている。
居間(サロン)では、教授を教え子たちが円卓状に囲む。
食事(座敷)の風景では家長、客(恋人候補)、妻娘が座る位置が決まっている。
子供室が用意され、女中などが動くための中廊下型の居間中心型の間取り。
娘が2階の子供部屋と1階の居間を逡巡する様子が階段のシーンによって描かれている。

b0150748_21575477.jpg

b0150748_21583772.jpg


「お早よう」1959年、小津安二郎監督
昭和30年代初頭 東京郊外 新興住宅地の平屋建に核家族5人が住まう生活。
新しくできてきたアパート(団地)に住むスタイリッシュな若夫婦の家にはテレビがあって、しばしば勉強をサボって遊びにいく。
子どもたちは個々の和室が廊下と縁側に囲われた間取りの家を縦横無尽に行き交う。


「家族ゲーム」1983年、森田芳光監督
1980年代初頭 団地に住まう核家族と一人の家庭教師のが描かれている。
子どもは両親には知られたくない本音を子供部屋で家庭教師という「他人」に吐露する。
一方で、両親が大事な話や子どものことを話す時は、家の中ではなく、団地の一角にある駐車場の車の中。
近所づきあいがなく,団地での葬式についてスペースが備えられていないことに戸惑う新居者が登場する。

b0150748_21564010.jpg


「トウキョウソナタ」2008年、黒沢清監督
現代の東京 サラリーマンの父と専業主婦と2人の核家族が住まう一戸建て住宅。
父は家族の中で父である威厳を保とうとするが、家族は冷めた距離感で接している。
父が2階の子供部屋へ逃げ込もうとする子どもを階段上から引きづり落とすシーン。
地域社会との関係は描かれていない。
b0150748_21553259.jpg

b0150748_21551786.jpg

「きょうのできごと」2004年、行定勲監督
2000年頃の京都河原町今出川あたりの木造2階建ての町家。 
ごくありふれた大学院生の引っ越し祝いに集まった友人たちの何気ない日常風景が描かれる。
家の中心にある食卓は団らんのように見えて家族のような一体感はなく、テレビのある部屋も、2階も、風呂場も、あくまで個々の会話や関係性のシーンでしかない。同世代が家族のように生活するシェアハウスとしての在り方。


第二部「棲めるところ」とは?

6つの映画で、特に家族の会話のシーン、食事のシーン、間取りが分るシーンを選んで鑑賞しました。それを踏まえて、家族や住まいの変遷を議論しました。
※「」は参加者の発言内容を引用したもの。


民家と町家の対比

「江戸時代の山間部の民家の住まいでは、生活をする全てが“家の中に入って”いた。」
家の中に馬や牛が飼われ、北海道の民家の中では囲炉裏の煙で鮭を燻していた。
自分たちの食べるものを、自分の家に蓄え、冬には採れた米の稲藁でわらじを編む。
こういった行い全てが、“家の中に入って“いた。

町家は家の中で全てをしなくても、家の外にそれがある。町が家のような感じ。
食べ物は買いに出て行き、外には銭湯がある。だから小さな面積でも生きていける。
「小さな町家にぎゅうぎゅうに家族が住んでいた、今では家族の人数が減ってちょうど良いくらいかもしれない。」

ここで、住まいと外の距離感の話となりました。

「町家という建物は、町との関わり方が既にトレーニングできている家、プライバシーのグラデーション化されている」
町中では食べ物はいつでも手に入るから、家は眠るだけのスペースでもよいという考え。現代はそれがますます進んでいて、「ワンルームマンションにはフライパンも洗えないくらい小さなシンクしか付いていなかったり」する。
「棲めるところ」を考えるには、外部との距離感、他者への依存度、共同体との関係性など、建物の形以外にも精神面あるいはシステム面においても再考できるかもしれません。

匂いと気配

「馬が同じ屋根の下に居る生活では、匂いが気にならなかっただろうか。家で鮭を干すなども、家中煤や魚の匂いがする。
今は一つ一つが壁で区切られているので匂いも気配もシャットアウトしている。そんな中で家族って一緒に暮らしている意味ってなんだろう。」
また、現在は消臭スプレーなどが多用されている。はたして無臭でよいのだろうか。

―子供部屋(個室)で勉強をした記憶がありますか?
「高校受験くらいまでは、居間で勉強をしていた。」
「自分の部屋は三帖敷のつぎの間の片隅だった。そこは家族が通る部屋、でも一時的にみんなが子供部屋として扱ってくれた。」
「周りが動いている方が環境として心地良かったりする。マクドナルドやスターバックスで読書するのはそいうことからかな。」

―理想的な間取りとは?
「気配のわかる家が良い。」
「玄関を入ってすぐリビングが良い。リビングを介さずに個室へいけるような間取りは家族が孤立してしまうので禁止したらいいと思うくらい。」
「現在すんでいるシェアハウスは、隣の同居人の姿は見えないが、寝息は聞こえる。それはお互い様であって、そこがありがたいと思う」


家の余白

「次の間みたいな、普段何の用途も無い部屋が今の間取りには無い。」
「続き間3帖は中廊下の発展前のもの、中廊下は女中の誕生によって確立した。家の中の、裏動線の確保。」
廊下ができると、部屋に用途付がされる(?)
なんでもない場所が家から無くなっていく?

玄関と勝手口 人を招くことありきの家づくりだった
行事、冠婚葬祭ありき。日常生活の場が非日常になる事が無い。

例えば古い町家には、現代生活にマッチしないスペースがある。そういったところが「余白」になるのでは?だからこそ、もう少し過去に寄り添うことが大事なのではないか。かつてはそこは儀式の際の予備室などであった。

現在の不動産では無駄を無くし最低限まで小さく切り売りする。
家をつくる時に、ある家族に合わせた特別なもので無い方が、後世に残せると思う。
例えば三階建てで全部個室の家は、転用しづらい。
子供部屋は子供が巣立ったら物置化する。
血縁で継ぐというのに無理がある。
暮らしの美意識が欠落している。

その家を気に入った人が住めばいい。
家は自分たちが居なくなった後も残る存在だと思っている。

自分たちの時間を越えた家の存在



気づき


住まい(環境)に合わせて自分の価値観を変えれる方が「人」として強いのではないか?


自分自身の社会への態度 (?)

あるシステムに身をゆだねる方が楽
現代はいろんなものがブラックボックス化している。
どうやって造られるのかわからないモノや事が多い。物事のメカニズムを知らない。
規範が受け身。
「マイホーム像」の一般化していて考えるキッカケが無くなってきた。
「現代は暮らしが盲目的」
自由であることには責任を伴う。

災害時について
今後起こるであろう災害に対してどのように考えますか?

木造が弱いというわけではない。
むしろ、メンテナンスが必要な建物だからこそ、そのように造られているかをわからせてくれる。
職人と住まい手が共同して把握している状態、それが一番安全なことかもしれない。
既製品は、購入者は手出しができない。
木造家屋は家が家族のような感じ。
京都には火消しが居なくても、町衆が消防団を組織していたので初期消火がはやかったらしい。


以上 みんなで話した内容の列記になりますが、
まとまらずとも記録として一度記載します。
[PR]
by machinamiproject | 2014-03-06 01:14 | Seek machinami | Comments(0)

できる事集(京町家)

先日こんな冊子ができたみたいです。

「既存不適格建築物」と総称せずに、このようにポジティブに考え始めるのが少々遅い気もしますが、
きちんと読んでおきたい内容だと思います。


「京町家できること集」

b0150748_22421113.jpg

[PR]
by machinamiproject | 2014-03-04 22:45 | 情報 | Comments(0)


町並・景観についての意見交換・勉強したものを公開します


by machinamiproject

プロフィールを見る
画像一覧

カテゴリ

全体
町並会議
ステッカ
情報
pique-nique
京都会館
建物
メッセージ
Project
今に生きる歴史
Seek machinami

Un petit essai
窓について
pride project
シェアリビング
my monument
greetings
ある日
まちあるき
都市計画
未分類

以前の記事

2016年 12月
2016年 07月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 08月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 01月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 05月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 08月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月

フォロー中のブログ

最新のコメント

制度って、国なり、自治体..
by tawawa at 12:36
tawaさんありがとう。..
by mk at 23:02
めんどくさがらない は、..
by MiKi at 02:07
早速コメントいただきあり..
by machinamiproject at 00:31
ああこのお家、わたしもと..
by フー at 18:16
素朴な疑問だけど北山のコ..
by tawawa at 12:55
んじゃ今度は 桂川を越え..
by miki at 13:36
桂方面、行きたいね。 ..
by tawawa at 12:37
はじめまして。 コメン..
by machinamiproject at 01:07
はじめまして、加藤と申し..
by sand_gasa at 05:50

メモ帳

最新のトラックバック

ライフログ

検索

タグ

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧